佐藤安律の「ニュースサイト1045」
元産経新聞記者で「炎のジャーナリスト」が、政治全般と映画(主に日本映画)を中心にマイオピニオンを発信します。あるべきブログの姿をめざして順次内容を刷新しています。2017年6月27日付で「佐藤安律の『映画と政治のブログ』」から名称を変更しました。
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3連敗の横綱稀勢の里、4日目も出場を決断 進退かけた大一番に 大相撲九州場所
 大相撲の横綱稀勢の里が九州場所で初日から3連敗を喫し、休場どころか進退問題が再浮上する瀬戸際に立たされた。きょう4日目は師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)が14日早朝、報道陣に出場する意向を明らかにした。4日目の対戦相手は前頭2枚目栃煌山で、稀勢の里にとっては嫌な相手だ。

 横綱の初日から3連敗(不戦敗を除く)は1992年初場所の旭富士以来。この時、旭富士は結局引退した。稀勢の里が4日目も出場する決断をしたことは強く支持したい。だが、さすがに4連敗となると、休場はもちろん、「引退」の2文字を覚悟せざるを得ない展開も予想される。大きな怪我があったにせよ、先場所まで横綱在位10場所中、8場所休場では、横綱としての責任を果たしていないことは明らかだ。

 この間に幕内上位陣に力のある若手らが台頭、一方、稀勢の里は力の低下が目立ち、今後も稀勢の里が安定した成績を残せるかについては正直厳しい。しかし、何とか苦境をしのいでいけば、徐々に本場所での相撲勘を取り戻し、どこまでかはともかく、復活の展望が全くないとは言えない。今場所3日目までの相撲内容についても厳しい見方は多いが、初日の小結貴景勝戦は突き合いの激しい一番となり、貴景勝は鼻から流血、観る者を熱くさせた。ここまでの結果は最悪だが、10勝5敗の成績だった先場所と比べて力強さが見られる点もある。

 悲壮感も漂ってきた稀勢の里だが、4日目の栃煌山戦はひときわ大歓声の中、土俵に上がることになりそうだ。稀勢の里にとっては進退をかけた大一番となる。



完全復活めざす稀勢の里、初日は難敵・貴景勝 大相撲九州場所
 大相撲九州場所(福岡国際センター)はきょう11日、初日を迎える。白鵬が右膝痛、鶴竜が右足首痛と2横綱が休場し、盛り上がりが懸念される中、焦点は初の一人横綱となる稀勢の里が完全復活を遂げ、昨年の春場所以来3度目の優勝をできるかどうかだ。

 先場所は横綱としてワースト記録の8場所連続休場明けで臨み、格下相手にバタバタとした相撲が目立ったものの、10勝5敗の成績を残し、引退の危機をひとまず脱した稀勢の里。10勝は横綱としては褒められた成績ではないが、場所前の状態からすると、それでもよくやったとの声は多かった。

 今場所は一転、場所前の稽古も力強く、好調を維持しており、期待が高まっている。なんといっても初日が決定的に重要だ。対戦相手は小結貴景勝。先場所は2日目に顔を合わせ、稀勢の里が土俵際の突き落としで薄氷の勝利を収めている。通算の対戦成績は2勝2敗で、稀勢の里にとっては分が悪い。貴景勝はずんぐりとして重心が低く、稀勢の里だけでなく、横綱・大関陣にとっては最も厄介な相手といっていい。

 好調が伝えられている時こそ、意外と危ない。今場所の盛り上がりは、ひとえに稀勢の里が優勝争いの先頭に立ち、引っ張っていけるかどうかにかかっている。

新作星取表2018-17
【日本映画】
「オズランド 笑顔の魔法おしえます。」★★★★
「あいあい傘」★★★★★
「億男」★★★
「ビブリア古書堂の事件手帖」★★★

【外国映画】
「デス・ウィッシュ」(米)★★★
「サーチ」(米)★★★★


【採点基準】
★★★★★  90点~100点
★★★★    80点~89点
★★★     60点~79点
★★       40点~59点
★         0点~39点


 「あいあい傘」は、宅間孝行が主宰した劇団「東京セレソンデラックス」(すでに解散)が2007年4月に初演した舞台劇を、宅間の監督・脚本により映画化した作品だ。25年前に失踪した父の情報が寄せられ、カメラマンをしている一人娘が父を連れ戻そうとやって来るが、そこには娘の想像とは違う現実があった。主演の娘・高橋さつき役に倉科カナ。

 父の六郎(立川談春)は有力国会議員の元秘書。その国会議員が引き起こした汚職事件の罪を全てかぶり、死のうと訪ねた見知らぬ土地で、六郎は、何も事情を聞かずに受け入れ、生きる希望を与えてくれたお茶屋を営む玉枝(原田知世)と暮らしていた。

 最初は強く反発していたさつきが玉枝にお茶屋で感謝の気持ちを伝える場面、続く、クライマックスのさつきと六郎が対面するシーンは、さすがに涙なしには観られなかった。倉科は主演女優賞に値する演技だと思う。

 ドラマの舞台となったのは架空の「恋園神社」。山梨県甲府市の金櫻神社がロケ地である。地元出身で六郎や玉枝のことをよく知っており、さつきに惚れて、父娘の対面に協力するテキ屋の清太郎役に市原隼人。清太郎は全国津々浦々の祭りを回って傘を販売しており、フラフラしているが、熱血漢のピュアな心の持ち主で、車寅次郎的人物だ。そのテキ屋仲間で、ドラマの進行役のような役割を果たすのが力也と日出子のカップル(やべきょうすけ、高橋メアリージュン)。特に高橋の元気のいいヤンキー娘ぶりは素晴らしい。

 とにかく、細部まで話のつながりがよく、脇の登場人物もそれぞれ重要な役割を果たし、お涙ちょうだい的なところがあるわけでもない。パーフェクトに近い出来で、冒頭から、何といううまさなのかと、感心することしきりだった。

 今年の新作日本映画のマイベストワン最有力候補。もう11月なのでほぼ確定だろう。
新作星取表2018-16
【日本映画】
「破天荒ボクサー」★★★★★
「止められるか、俺たちを」★★★★
「ここは退屈迎えに来て」★★★
「パーフェクトワールド 君といる奇跡」★★★

【外国映画】
「負け犬の美学」(仏)★★★


【採点基準】
★★★★★  90点~100点
★★★★    80点~89点
★★★     60点~79点
★★       40点~59点
★         0点~39点


 「破天荒ボクサー」は、所属ジムと対立、日本ボクシングコミッション(JBC)に引退届を退出し、海外を中心に独自の戦いを続けてきたユニークな1人のプロボクサーを追ったドキュメンタリー映画である。

 プロボクサーの名前は山口賢一。渡辺二郎、辰吉丈一郎ら過去3人の世界王者を輩出した名門の大阪帝拳ジムに所属し、一時、11連勝して日本タイトル挑戦が視界に入っていたが、試合が組まれず、会長に強い不信感を持ち、ジムを飛び出した。影響力の強い名門ジムと対立すると、日本では受け入れ先がなく、日本国内でプロボクサーとして選手続行ができない。山口は実力の世界であるプロボクシングで、この閉鎖的なあり方はおかしいと、映画を通じて強く訴えている。

 山口は結局、海外のリングに活躍の舞台を求め、一度はJBCが当時未公認だった世界ボクシング機構(WBO)の世界タイトルにも挑戦する(結果は11ラウンドTKO負け)。その山口に、日本で東洋太平洋ボクシング連盟(OPBF)タイトル挑戦の話が持ち上がる。試合実現のためには大阪帝拳ジムに復帰するか、JBCに加盟する他のジムに移籍する必要があり、山口は支援者と共に、大阪帝拳ジム側との協議へ向かった。しかし、そこでは到底のめない条件が山口に突き付けられた。

 こう文字だけで読むと、山口の悲壮感あふれる孤独な戦いを想像されるかもしれないが、実際の山口は元高校球児の陽気で活発な親分肌。とにかく、ユニークなキャラクターで映画の題材として申し分ない。そんな人間的魅力を持つ山口だけに、プロボクシングのミニマム級で世界ボクシング評議会(WBC)、世界ボクシング協会(WBA)、国際ボクシング連盟(IBF)、WBOの主要4団体の世界王座奪取を日本の選手で唯一達成している高山勝成や、高山のトレーナーとして二人三脚で歩んできた中出博啓、高校時代の恩師ら支援、協力する人たちも少なくない。

 監督・撮影・編集は武田倫和。単に映像とインタビューだけで構成し、ああでもない、こうでもないとするドキュメンターリー映画も多い中、山口に密着し、次々と展開される予測不能な筋書きのないドラマを追い、海外にも同行している。監督も山口と共に戦っていることが伝わる内容だ。ドキュメンタリー映画としては稀に見る面白さで、最高級の評価をしたいと思う。

新作星取表2018-15
【日本映画】
「覚悟はいいかそこの女子。」★
「日日是好日」★★★★
「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」★

【外国映画】
「LBJ ケネディの意志を継いだ男」(米)★★★★
「クワイエット・プレイス」(米)★★★


【採点基準】
★★★★★  90点~100点
★★★★    80点~89点
★★★     60点~79点
★★       40点~59点
★         0点~39点


 「LBJ ケネディの意志を継いだ男」は、1963年11月22日、ジョン・F・ケネディ米大統領が遊説先のテキサス州ダラスで暗殺され、合衆国憲法の規定により、急きょ副大統領から大統領に昇格したリンドン・ベインズ・ジョンソン(LBJ)が、ケネディの意志を継ぎ、公民権法を成立させるまでを中心に描いた政治ドラマである。LBJ役にウディ・ハレルソン。監督は「スタンド・バイ・ミー」で知られるロブ・ライナー。

 ジョンソンは1960年の大統領選の民主党候補指名争いでケネディに敗れるが、ケネディは党大会でそのジョンソンを伴走者となる副大統領候補に指名した。ジョンソンは当時、上院民主党の院内総務で、議会のリーダーとしては腕力のある名うての政治家だった。ケネディはルックスがよく、華やかな雰囲気を持つ人気先行型で、ジョンソンは自らに足りない部分を補うには絶好の人物だったのだろう。地盤もケネディが北東部のマサチューセッツ州であるのに対し、ジョンソンは南部のテキサス州。結局、この副大統領人選により、ケネディの死後、公民権法の早期成立につながっていくことが、映画ではよくわかる。

 ケネディ政権下のホワイトハウスでは、ケネディの実弟で司法長官のロバート・ケネディとジョンソンの確執があり、ロバートやその側近たちは大統領に昇格したジョンソンに冷ややかで、1968年の米大統領選を強く意識していた様子が描かれる。このあたりをもっと掘り下げてほしかった気もするが、あまりそこに焦点が当たると、映画の狙いから外れることになるのしかもしれない。

 ジョンソンについては、その功績や評価がもはや日本で語られることが少なく、同時代にケネディ政権をウオッチできた人や学者など一部を除くと、政治通の間でも理解されていないのが実態だと思う。映画としてはやや迫力不足の感もあるが、視点はよく、勉強になる内容だった。



プロフィール

佐藤安律

Author:佐藤安律
(さとう・やすのり)
ジャーナリスト。1965年生まれ。大阪市立大学法学部卒。産経新聞記者として20年7カ月勤務し、政治部、夕刊フジ、大阪経済部などに所属。政治部では、厚相時代の小泉純一郎元首相、元自民党幹事長の野中広務氏らを担当した。産経新聞の年間連載「こども大変時代」で、取材班としてファイザー医学記事賞優秀賞を受賞。2011年8月からフリーランス。大阪市在住。得意分野は政治全般、日本映画、医療問題。原稿の依頼などコンタクトはyasunori7373@yahoo.co.jp

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