佐藤安律の「ニュースサイト1045」
元産経新聞記者で「炎のジャーナリスト」が、政治全般と映画(主に日本映画)を中心にマイオピニオンを発信します。あるべきブログの姿をめざして順次内容を刷新しています。2017年6月27日付で「佐藤安律の『映画と政治のブログ』」から名称を変更しました。
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菅元首相が脱原発の新党構想 原点回帰で久々の話題提供
 民進党の菅直人元首相が久々に政局がらみの話題を提供している。18日付の自身のブログで、次期国政選挙での「原発ゼロ」を公約に掲げる政党の必要性を指摘し、日本版「緑の党」の結成に意欲を示したのだ。勢いづいた菅氏は19日付のブログでも、「脱原発を明確に掲げる政党の出現を期待している国民は多いはずだ」と続報を放っている。

 菅氏は「民進党が少なくとも『2030年までに原発ゼロを実現する』と明確に公約に掲げることがきるかどうかだ。それができないときは、5人以上の国会議員が参加する脱原発党=緑の党を全国規模で結成し、当選者を出せるようにすることだ」などと書き込んでいる。

 少し説明を加えておこう。民進党は「2030年代原発稼働ゼロ」という立場だが、蓮舫代表は今年2月、「30年ゼロ」と前倒しを表明した。ところが、民進党最大の支持団体・連合の反対であっさり断念。脱原発派の強い失望を招いたのだった。菅氏はここを突いており、「30年までに」とさらなる前倒しを提唱しているのだ。

 安倍内閣の支持率は加計学園問題などで政権への信頼が揺らいで急落し、自民党の支持率も落ちている。しかし、最大野党・民進党の支持率は低空飛行を続け、受け皿になる状況では全くない。その理由は前身の民主党政権の失敗の印象がまだまだ強烈なことが大きいわけだが、もうひとつは民進党が自民党との明確な対立軸を打ち出せないことにある。是非は別として、脱原発はその対立軸になりえるとの見方は少なくない。

 菅氏はこの2回の衆院選では、小選挙区の東京18区で、自民党候補に連敗し、いずれも比例東京ブロックで復活当選。次期衆院選も苦戦が予想され、新党構想は自らの生き残りをかけた側面もあるだろう。

 昨年の米大統領選の民主党予備選で、若者の支持を得て大善戦した年長のサンダース上院議員に元気をもらったという菅氏。もともと市民運動出身、衆院で初めて議席を獲得した時に所属していたのも社会民主連合というミニ政党だった。小さな組織でこそ生き生きとし、持ち前の論戦力で政権を攻撃するときに最大の強みを発揮するタイプだ。原点に戻ろうとするかのような行動はいい選択なのかもしれない。

新作星取表2017-23
【日本映画】
「心に吹く風」★★
「トモシビ 銚子電鉄6・4㎞の軌跡」★★★★★
「ラオス 竜の奇跡」(日本=ラオス)★★★
「彼女の人生は間違いじゃない」★★★

【外国映画】
「ジョン・ウィック:チャプター2」(米)★★★


【採点基準】
★★★★★  90点~100点
★★★★    80点~89点
★★★     60点~79点
★★       40点~59点
★         0点~39点


 「トモシビ 銚子電鉄6・4㎞の軌跡」は、資金的にも時間的にも厳しい条件のご当地映画としては見事な出来栄えだった。関東の最東端を走るローカル線「銚子電鉄」(千葉県)と、地元商業高校の生徒有志による駅伝チームが競走することになり、このイベント実現に向けての関係者たちの奮闘ぶりを中心に軽快なタッチで描く。

 生徒たちの駅伝チームの方が迂回する道を通るため、走行距離は長くなるが、電車は各駅停車し、折り返し地点でもしばらく停止するため、いい勝負になるというのだ。銚電を盛り上げようとイベントを発案したのは、いつも通学で利用する杏子(松風理咲)。漁師だった父を亡くし、母(富田靖子)と2人で暮らしている。

 杏子をはじめ、駅伝チームのメンバーは帰宅部で構成され、1人だけ陸上部から応援をもらった。しかし、どうしても最後の1人が集まらない。この高校生たちのお話も誇張された演出がなく好感が持てるのだが、秀逸なのは杏子の周囲の大人たちのキャラクターや日常ドラマの描き方だ。

 歌手になる夢が挫折して銚子の街にやってきた若い女性(植田真梨恵)、この女性に恋する地元の「撮り鉄」の青年(前野朋哉)、杏子の両親と元同級生で脱サラした銚電の運転士(よゐこの有野晋哉)、認知症を患って今も現役だと思い込んでいる元駅長(井上順)ら、脇を固める登場人物たちがユニークで、それぞれのエピソードが全体とうまくつながっている。センスのいいユーモアを全編にわたって利かせているのにも感心した。

 監督は、故森田芳光監督の長編映画デビュー作「の・ようなもの」の続編となった「の・ようなもの のようなもの」(2015年)を手がけた杉山泰一。一連の森田監督作品を支え、助監督時代の長かった人だが、さすがに安定感抜群で確かな手腕を発揮している。

トランプ米大統領就任半年 支持率最低だが独特の強さ 長男のロシア疑惑で窮地も
 トランプ米大統領が今月20日に就任半年を迎えるのを前に、米紙ワシントン・ポストとABCテレビが16日発表した世論調査結果によると、支持率は36%で、就任100日の4月から6ポイント下落した。不支持率は58%で同比5ポイント増。支持率、不支持率とも、第2次世界大戦後の歴代米大統領の就任半年時点における数字としては最悪だった。

 医療保険制度改革法(オバマケア)をはじめとする前政権の政治的遺産(レガシー)のちゃぶ台返しに全力を挙げるトランプ氏。昨年の大統領選での公約を守ろうとしている姿勢は支持できるところもあるが、就任半年時点で政策面での成果があがっているとはとても言えない。一方、トランプ氏周辺とロシアとの不透明な関係「ロシアゲート」を巡っては疑惑が続出しており、世論の厳しい見方も仕方ないだろう。

 特に、トランプ氏の長男、ドナルド・トランプ・ジュニア氏が昨年6月、民主党候補のクリントン元国務長官への不利な情報提供を受けるため、ロシア人女性弁護士と面会していた新疑惑の衝撃は大きい。トランプ氏の長女の夫であるクシュナー大統領上級顧問、マナフォート元選対本部長も同席していたとされる。

 「ロシアゲート」の原点は、昨年の米大統領選へのロシアの介入であり、トランプ陣営とロシア関係者が共謀していた確たる証拠が出てくるような事態になると、トランプ氏は1期4年の任期すら務めるのも難しくなるかもしれない。

 支持率30%台での推移は予想の範囲内で、トランプ氏にとって大した問題とは思えない。対立と孤立を全くいとわない特異なキャラクターのトランプ氏。この点は米大統領選の共和党予備選段階から一貫している。メディアとの激突も続く。賛否はともかく、主要メディアの事前予想をことごとく覆し、世紀の番狂わせを演じて大統領選を制したトランプ氏だからこそできる芸当である。

 やはり、民主主義国家では、選挙でどんな勝ち方をして指導者になるかは、就任後しばらくのパワーに大きく影響するものなのだ。異端の米大統領からますます目が離せない。

小林正樹監督作品マイベストワンは「化石」(1975年) ベスト5公表
 人間はいかに生きるべきかといった直球勝負、あふれるヒューマニズムなどを特長とし、生涯22本の作品を発表した映画監督・小林正樹(1916-1996)。「人間の條件 6部作」(1959年ー1961年)以降は、強靭で重厚な作風が目立ち、国際的にも高い評価を得た。

 小林監督の作品群は4分の3程度観ていたが、大阪・九条のシネ・ヌーヴォで開催中の特集上映「生誕101年 小林正樹映画祭 反骨の美学」へ通ったことにより、21本まで鑑賞した。小林監督最後の作品となった「食卓のない家」(1985年 MARUGENビル)だけが未見として残った。今回の特集上映でもプログラムになかった。

 そこで、「完成度の高さ重視」と「私の好み」の2つの視点からそれぞれの小林監督作品ベスト5を明らかにしたい。トータルの結果がマイベストワンになると思うのだが、その作品としては「化石」(1975年 四騎の会=俳優座)を挙げる。映画の内容の詳細は省くが、主演の佐分利信がとにかく素晴らしい。


【完成度の高さ重視からのベスト5】
第1位「切腹」(1962年 松竹京都)
第2位「人間の條件 6部作」(1959年ー1961年 にんじんくらぶ他)
第3位「化石」(1975年 四騎の会=俳優座)
第4位「上意討ち 拝領妻始末」(1967年 三船プロ=東宝)
第5位「東京裁判」(1983年 講談社)

【私の好みのベスト5】
第1位「化石」(1975年 四騎の会=俳優座)
第2位「燃える秋」(1978年 三越=東宝)
第3位「人間の條件 6部作」(1959年ー1961年 にんじんくらぶ他)
第4位「泉」(1956年 松竹大船)
第5位「切腹」(1962年 松竹京都)


仲代達矢さん、代表作の「人間の條件」6部作を鑑賞し涙 大阪のミニシアター
 日本映画・演劇界を代表する名優、仲代達矢さんが11日、12日の両日にわたって、自らが主演した五味川純平原作、小林正樹監督の「人間の條件」(6部作、1959年ー1961年)を、大阪・九条のシネ・ヌーヴォで鑑賞した。12日午後、上映時間の合計が9時間半を超える大河映画を鑑賞し終えた仲代さんは超満員の会場から割れんばかりの拍手を受けて登壇し、「涙が出ました。今の時代にも十分通用する内容だと思いました」と感慨深さそうに語った。

 仲代さんは涙の理由として、「ひとつは映画そのものに感動したからです。もうひとつは、まだ元気で活躍している方もおられますが、すでに多くの出演者が亡くなられているからです」としみじみと述べた。

 現在84歳の仲代さんは今も映画に演劇にと活躍するが、1996年に80歳で他界した小林監督は、自分を見出してくれた恩人だ。初めて小林監督作品に出演したのは1957年の「黒い河」。米軍基地周辺を舞台とした物語で、主演は有馬稲子。その共演相手で、個性的な愚連隊の人斬りジョー役を好演した。

 この後、仲代さんは映画出演の機会が一気に増えるが、まだ主演作はなかった。その時、小林監督が自らの戦争体験を色濃く投影した超大作「人間の條件」の主人公・梶役に、仲代さんを抜擢した。

 仲代さんは小林監督のことについて「完璧主義者で仕事には厳しい人でした。黒澤明監督はよかったときは『よかったよ』と言ってくれるんですが、小林監督は何も言ってくれません」と振り返った。

 「人間の條件」は、仲代さん扮する主人公の梶が、ソ連の捕虜収容所を脱走し、愛する妻・美千子(新珠三千代)の幻影に語りかけながら雪原を彷徨い、死んでいくところで終わる。仲代さんはこの最後の梶を演じるために、1週間、食事や睡眠をとらず、6㌔体重を落として撮影に臨んだ。仲代さんは「今観ると、あれだけのことをやっておいて良かったなと思いますよ」と話した。

 「人間の條件」は当時、第1部・第2部、第3部・第4部、完結篇(第5部・第6部)と3回にわたって封切られたが、全てキネマ旬報ベスト・テンにランクイン。ベネチア国際映画祭のサン・ジョルジョ賞などにも輝いた。戦後に作られた日本の反戦映画の代表的な作品との不動の評価がある。

 今も元気な仲代さんだが、「大きなスクリーンでこの映画を観るのはこれが最後だと思っています」と語って、会場を後にした。



プロフィール

佐藤安律

Author:佐藤安律
(さとう・やすのり)
ジャーナリスト。1965年生まれ。大阪市立大学法学部卒。産経新聞記者として20年7カ月勤務し、政治部、夕刊フジ、大阪経済部などに所属。政治部では、厚相時代の小泉純一郎元首相、元自民党幹事長の野中広務氏らを担当した。産経新聞の年間連載「こども大変時代」で、取材班としてファイザー医学記事賞優秀賞を受賞。2011年8月からフリーランス。大阪市在住。得意分野は政治全般、日本映画、医療問題。原稿の依頼などコンタクトはyasunori7373@yahoo.co.jp

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