佐藤安律の「ニュースサイト1045」
元産経新聞記者で「炎のジャーナリスト」が、政治全般と映画(主に日本映画)を中心にマイオピニオンを発信します。あるべきブログの姿をめざして順次内容を刷新しています。2017年6月27日付で「佐藤安律の『映画と政治のブログ』」から名称を変更しました。
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印象に残る国内外の5つの政治ドラマ
 好評を博す「マイベスト」シリーズ。今回は、初めて、国内外の現実の政治ドラマで私が強く印象に残っている上位5位までを紹介する。私が直接の取材あるいは報道を通じてリアルタイムで推移をウオッチできた政治ドラマを対象にした。私が政治に関心を持つようになったきっかけは、1982年11月の自民党総裁選であり、これ以降が対象ということになる。あくまで、私に強烈な印象を残した出来事であって、国内外の政治において重要な意味を持つこれ以上の超ド級の出来事は他にいくつもあることは承知しており、断っておきたい。
 
 【第1位=「加藤の乱」(2000年 日本)】
 かつて永田町で最も首相の座に近いとみられていた自民党の加藤紘一氏が、盟友の山崎拓氏と共に、当時の森喜朗政権打倒を目指し、野党提出の内閣不信任決議案に同調する構えをみせた一大政局である。私も永田町にいて、連日、緊張感に包まれた。私はこの政局が今でも強い印象を残すのは、単に、不利な状況下で自民党総裁選に挑戦するというようなものではなく、まさに政治生命を賭けた大一番だったからだと思っている。乱は失敗に終わったが、山崎派が最後まで結束して行動をとったことには感心した。

 【第2位=森喜朗政権における一連の騒動(2000年ー2001年 日本)】
 小渕恵三首相が現職のまま病に倒れ、緊急登板することになった森喜朗政権。森氏自身は、政府、自民党で数々の要職をこなした熟練の政治家で、首相を務めるには十分なキャリアを積んでいた。しかし、持ち前の旺盛なサービス精神がたたり、不用意な言動が相次いだ。メディアに必要以上に揚げ足を取られた面も確かにあった。内閣支持率は超低空飛行を続けた。政権存続期間は1年だったが、常時、政局のような状態で、上記の「加藤の乱」もこの中で起きた。

 【第3位=米大統領選でトランプ氏衝撃の勝利(2016年 米)】
 米大統領選の共和党候補者指名争いに名乗りをあげた当初は、泡沫候補扱いだったドナルド・トランプ氏。共和党予備選・党員集会でトランプ氏の快進撃が始まっても、夏の共和党大会では、指導部が異端で過激なトランプ氏を指名しないためのウルトラCを使うとの報道が目立った。正式な共和党候補になってからも、民主党候補のヒラリー・クリントン氏には勝てないとの見方が支配的で、私もずっとそう思っていた。大統領選本選当日の日本時間昨年11月9日午後、慎重なNHKテレビが「トランプ氏優勢」とのテロップを流した時は、最高に興奮した。

 【第4位=歴史的な大接戦となったブッシュ対ゴアの米大統領選(2000年 米)】
 民主党のビル・クリントン政権が2期続いた後を決める米大統領選は、クリントン政権で副大統領を務めた民主党のアル・ゴア氏と、共和党のジョージ・ブッシュ氏(子)の対決となり、空前の大接戦にもつれ込んだ。全米の開票が始まっても、ブッシュ、ゴア両氏の優勢がその都度入れ替わるような展開となった。決着は南部の大票田・フロリダ州の票の行方に委ねられた。ここが稀に見る僅差の勝負となり、開票日に決着がつかず、両陣営の争いは法廷の場に舞台を移す。米大統領選でこんなことが起こり得るのかと、本当に驚いた。結局、共和党のブッシュ氏が勝利したが、民主党でも共和党でも3期続けて政権を取るのは難しいことがわかる。民主党のオバマ政権2期の後、共和党のトランプ政権となったことをみてもそういえるだろう。

 【第5位=胡耀邦総書記失脚 すさまじい水面下の権力闘争(1987年 中国)】
 当時の中国の最高実力者は、文句なしに鄧小平・中国共産党中央軍事委員会主席だった。党の組織上のトップは胡耀邦総書記。胡総書記は鄧氏の全幅の信頼を得ているとみられていたし、そうでなければ力は持ちえなかった。鄧氏の強力なリーダーシップにより、中国は経済の改革・開放路線を推進する。ただ、政治の民主化は進まなかった。胡総書記の動静に何らかの異変が起きている可能性を指摘する報道は直前にあったかもしれないが、総書記解任は寝耳に水で、世界中に激震が走った。日本の自民党の派閥全盛時代、密室政治はよく批判されだが、中国の密室政治の激烈さ、スケールはその比でない。メディアが、現在進行形で中国共産党指導部の水面下の権力闘争の核心に迫ることはまず無理だ。

第2回日本の映画女優マイベストテン 浅丘ルリ子が大躍進
 昨年12月に続く第2回の日本の映画女優マイベストテンです。今年の夏に蔵原惟繕監督の特集上映を集中的に鑑賞して、浅丘ルリ子株が急伸し、一気に4位登場となりました。浅丘ルリ子は「男はつらいよ」シリーズの歴代最高マドンナでもあり、もともと好きな女優ではあったのですが、主演した「夜明けのうた」(1965年)と「執炎」(1964年)の2本の蔵原作品を観て特に感動し、大躍進となったわけです。ちなみに「執炎」は、浅丘ルリ子の出演100本記念映画として製作されました。

 浅丘ルリ子が出演する蔵原作品で最も評価が高いのは、三島由紀夫原作の「愛の渇き」(1967年)でしょう。浅丘ルリ子の女優キャリアの中でも代表作の1つです。作品的な評価としては頷けます。今夏の特集上映でも1回観ましたが、この作品は過去に4回か5回鑑賞していました。「夜明けのうた」と「執炎」は初鑑賞だったので、それだけインパクトが強かったわけです。

 香川京子も大きく順位を上げました。このブログで記事を書きましたが、先月鑑賞した豊田四郎監督の「猫と庄造とふたりのをんな」(1956年)での演技が忘れられません。

 以下が第2回日本の映画女優マイベストテンの順位です。カッコ内の数字は前回順位です。


 第1位(1)=有馬稲子
 第2位(2)=山本富士子
 第3位(3)=若尾文子
 第4位(-)=浅丘ルリ子
 第5位(4)=京マチ子
 第6位(9)=香川京子
 第7位(5)=田中絹代
 第8位(7)=桑野みゆき
 第9位(6)=高峰秀子
 第10位(8)=岸惠子

新作星取表2017-28
【日本映画】
「あゝ、荒野」後篇★★★
(前篇、後篇トータルで★★★★)
「斉木楠雄のΨ難」★★★
「ミックス。」★★★
「彼女がその名を知らない鳥たち」★★★★
「先生! 、、、好きになってもいいですか?」★★★

【外国映画】
「新感染 ファイナル・エクスプレス」(韓国)★★★
「アトミック・ブロンド」(米)★★
「バリー・シール/アメリカをはめた男」(米)★★★


【採点基準】
★★★★★  90点~100点
★★★★    80点~89点
★★★     60点~79点
★★       40点~59点
★         0点~39点


 「あゝ、荒野」は、寺山修司唯一の長編小説が原作で、舞台を東京五輪後の2021年以降の新宿に置き換えた2人の若者の苛烈な青春物語であり、ボクシング映画だ。屈折した人生を過ごしてきた新次と建二が運命的に出会い、ボクシングを知り、ともにプロとなる。リングネームは新宿新次とバリカン建二で、菅田将暉とヤン・イクチュンが演じた。監督は岸善幸。

 ボクシングは、ノンフィクションの分野で最も題材になることが多いスポーツとして知られる。特にリングに上がるまでの過程が孤独でストイックなため、まさに人生の縮図のようであり、描きやすいのだ。映画の題材としても同じことがいえるだろう。世界タイトル戦を巡るドラマを劇的に盛り上げて描くのではなく、名もない下積みの選手たちの生きざまや人間模様に力点を置くのが好みだが、この映画はおおむねその線だ。潰れかけのジムで寝食を共にし、親友になる新次と建二だが、運命は2人を分かつことになる。

 「あしたのジョー」のような雰囲気が少しあり、力強く、骨太といっていい内容の映画だと思うが、私はラストが好きになれず、後篇は★1つを減点した。しかし、このラストをいいという人もいる。

 「斉木楠雄のΨ難」は、福田雄一監督のパワーあふれるギャグ満載のコメディーだ。生まれながらの超能力者である斉木楠雄(山﨑賢人)はPK学園に通う高校生で、文化祭を巡って繰り広げられる学園内のぶっとんだ騒動を描く。楠雄を自分に振り向かせようと妄想を膨らませるクラスメイト役を演じた橋本環奈の思い切りのいいコメディエンヌぶりがなかなか見事だった。話が終わって、ゆずの主題歌が流れてのエンドクレジットになったとき、「よくぞ今回も迷いなく、ここまで突っ走ったな」と、うっすらと感動さえ覚えた。福田ワールドをこれからも観るのが楽しみだ。

「恍惚の人」
 家庭における認知症高齢者の介護問題にスポットを当て、大反響を呼んだ有吉佐和子の空前のベストセラー小説の映画化で、1973年の芸苑社作品。監督は豊田四郎。認知症が進行し、徘徊などの深刻な周辺症状が現れている84歳・茂造を森繁久彌が演じた。脚本は松山善三。キネマ旬報ベスト・テン第5位。大阪・九条のシネ・ヌーヴォで開催中の特集上映「松山善三・高峰秀子~夫婦で歩んだ映画人生」で鑑賞した。

 映画は、雨天の中、買い物袋を提げて帰宅を急ぐ昭子(高峰秀子)が、傘もささずに人混みの中を歩いている義父の茂造を発見し、一緒に家へ帰るところから始まる。茂造は妻に先立たれるが、この段階で認知症はかなり進行している。茂造は、同居する息子の信利(田村高廣)や、家を出て生活は別にしている娘の京子(乙羽信子)の顔を見ても、もはや誰だかわからない。

 ところが、茂造は、信利の嫁で、もとは他人の昭子のことだけはわかっていて、「昭子さん、昭子さん」と頼りにしてくるのだ。認知症になる前の義父の茂造と昭子の人間関係が良好だったわけではない。昭子は、茂造にいつも意地悪され、優しい言葉ひとつかけてもらったこともなかった。
  
 昭子が、そんな義父の茂造に愛情を持っているはずはないが、認知症が進行し、子供のようになった茂造にただ1人覚えてもらっていて、頼りにされる。昭子は法律事務所に勤務しているが、夜中に茂造に何度も起こされる。夫の信利も介護はすべて昭子任せ。昭子は途中で精神的に参りかかる。それでも、昭子は自分を信頼してくれる茂造に、嫌だった感情が薄れてくる。情が移り、誠心誠意、茂造に接する。

 茂造が死んだあと、茂造が可愛がっていた籠の中の鳥を見て、昭子は涙するのだった。昭子は悔いが残ったようなことも言うのだが、茂造と最後までしっかりと向き合い、看取ったことに、後々まできっと満足感があるはずだ。

 介護をテーマにした映画はいろいろ観たが、介護の大変さ、家庭の深刻な事情をことさら強調しようと、誇張された演出になり、しらけてしまうことがよくある。しかし、この映画は、介護が、される側とする側の信頼関係、魂と魂の触れ合いなのであり、かけがえのない時間を過ごしているのだということをきちんと描いていて、傑出した出来だと思う。もちろん、現実の介護になると、支えることができる家族が何人いるかがまず問題になり、介護期間、症状、職場の理解、金銭的余裕など、個別の事情によって全然違ってくる。

 さすが、「文芸映画の巨匠」といわれた豊田の作品のことだけはある。と、いいたいのだが、高峰が映画評論家の佐藤忠男に語っているところによると、豊田は病気で体調を崩し、撮影現場にいる時間は少なかったそうだ。カメラマンの岡崎宏三と、森繁と高峰の3人で相談して、映画をどんどん撮っていったのだという。クライマックスは雨の中、昭子が買い物に行っている間に、茂造が家を出て徘徊し、昭子が茂造を見つけて抱きしめるシーン。ここは豊田も大事だと思って現場に出てきたそうである。岡崎による白黒映像が実に効果を上げている作品だということも強調しておきたい。


※参考文献=佐藤忠男著「日本映画の巨匠たちⅡ」(学陽書房)





衆院選 菅元首相が東京18区で勝利 今回もしぶとさを発揮
 第48回衆院選は、メディアの情勢調査通り、自民党の圧勝、希望の党の惨敗、立憲民主党の躍進という結果に終わった。希望の党は、第1党になって政権獲得どころか、野党第1党にすらなれなかったのだから、話にならない。

 そんななか、全国の小選挙区の結果で関心を集めたひとつが、立憲民主党の菅直人元首相の東京18区での勝利である。過去2勝2敗で迎えた自民党の土屋正忠氏との対決。予想通りの大激戦となったが、僅差で制した。

 直近2回は土屋氏に連敗。いずれも、菅氏は比例代表で復活当選したものの、前回2014年12月の衆院選では、全475議席(当時)の最後に当選が決まる薄氷ぶりだった。今回も、各メディアの情勢調査は両氏の接戦を伝えていたが、一部の終盤調査では、土屋氏が一歩抜き出たとの見方があった。

 首相時代の東京電力福島第一原発事故の初動対応などをめぐり、なにかと批判を受けることが多い菅氏。特に右派勢力からは目の敵にされている感すらある。しかし、そこは市民運動出身で、社会民主連合というミニ政党から衆院初当選、たたきあげで首相にまで上り詰めた菅氏だけに、土壇場でのしぶとさはさすがだ。

 首相在任中の最後も、自ら率いる民主党内からの「菅おろし」に驚異の粘り腰をみせていた。これに対しては、与党内ですら求心力を欠いてまとめられないのに、首相の座にしがみつくのは、国益を損ねるとの批判があった。賛否はともかく、世襲政治家にないたくましさ、図太さをみせる菅氏。当選13回。立憲民主党内でも、永田町での闘争歴は他の追随を許さないだけに、存在意義はあるはずだ。



プロフィール

佐藤安律

Author:佐藤安律
(さとう・やすのり)
ジャーナリスト。1965年生まれ。大阪市立大学法学部卒。産経新聞記者として20年7カ月勤務し、政治部、夕刊フジ、大阪経済部などに所属。政治部では、厚相時代の小泉純一郎元首相、元自民党幹事長の野中広務氏らを担当した。産経新聞の年間連載「こども大変時代」で、取材班としてファイザー医学記事賞優秀賞を受賞。2011年8月からフリーランス。大阪市在住。得意分野は政治全般、日本映画、医療問題。原稿の依頼などコンタクトはyasunori7373@yahoo.co.jp

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