新作星取表2019-5

【日本映画】
「鯉のはなシアター~広島カープの珠玉秘話を映像化したシネドラマ~」★★★
「愛唄ー約束のナクヒトー」★★
「BACK STREET GIRLS ゴクドルズ」★
「半世界」★★
「トラさん~僕が猫になったワケ~」★★★

【外国映画】
「メリー・ポピンズ リターンズ」(米)★★★


採点基準】
★★★★★  90点~100点
★★★★    80点~89点
★★★     60点~79点
★★       40点~59点
★         0点~39点


 ★は惜しくも3つにとどまったものの、人気漫画の実写映画化である「トラさん~僕が猫になったワケ~」はシンプルだが心温まる作品だった。Kis-My-Ft2の北山宏光が映画初出演での主演作。監督は筧昌也。

 北山演じる高畑寿々男は売れない漫画家で、妻の奈津子(多部未華子)と小学生の一人娘・実優(平澤宏々路)の3人で暮らしている。寿々男には猫を題材とした唯一の代表作「ネコマン」があるが、最終回を描かず、5年間もぶらぶらしている。もともと猫は大嫌いで、最終回は描く気もない。

 猫が大好きで、将来漫画家になりたいという夢を持つ実優は、父の寿々男に不満で、うっとうしがる。その寿々男がある日、熱を上げる競輪からの帰宅途中、交通事故で死んでしまう。寿々男は、あの世の裁判長から猫の姿で1カ月間、人生を挽回してくるように命じられ、トラ猫となって、奈津子と実優のもとに戻ってきた。

 奈津子と実優はそのトラ猫が寿々男であることを知らない。トラ猫は実優から「トラさん」と名付けられ、トラさんは2人だけになった奈津子と実優の生活を観察し、実優の父への思いも知ることになる。

 寿々男の未完の代表作「ネコマン」が物語の最後にぐっと生きてくる脚本がうまい。映画全体の雰囲気も不必要にドタバタすることなく、落ち着いていて、安心して観られる。映画初出演の北山は健闘しており、若手人気女優の中でも実力派の多部と、子役としての実績のある平澤が脇を固め、家族、特に父と娘の絆をしっかりと描いている。

新作星取表2019-4

【日本映画】
「チワワちゃん」★★★
「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」★★★
「そらのレストラン」★★
「七つの会議」★★★★★
「夜明け」★★★★

【外国映画】
「マイル22」(米)★★★
「サスペリア」(イタリア=米)★★
「フロントランナー」(米)★★★


【採点基準】
★★★★★  90点~100点
★★★★    80点~89点
★★★     60点~79点
★★       40点~59点
★         0点~39点


 「七つの会議」は、巨大メーカー組織の犯罪隠蔽に立ち向かう一見ぐうたら社員の男の戦いの物語で、池井戸潤の同名小説の映画化だ。主演は野村萬斎。監督は、TBSのエースディレクターとして知られ、池井戸原作の「半沢直樹」「下町ロケット」「陸王」といった大ヒットドラマの演出をてがけてきた福澤克雄。

 八角(野村)は東京建電というメーカーの営業1課に所属する万年係長。営業1課自体は、社内のエース級が集まるトップ部署で、課長は八角の後輩にあたるエリートの坂戸(片岡愛之助)である。坂戸は、上司で鬼の営業部長として恐れられている北川(香川照之)のお気に入りだ。坂戸は八角にほとほと手を焼いていたが、ある日、暴言を吐き、八角は坂戸をパワハラで訴えた。

 これに対し、北川は坂戸を守ることなく、坂戸は課長の職を解任されてしまう。このほか、八角が絡む営業の不可解な動きを探ろうとした元エリートのカスタマー室長、八角と対立した経理担当者も次々に飛ばされていく。

 八角は会社の何か重大な秘密を知っているのか。パワハラ騒動後、営業1課長に横滑りした気の弱い原島(及川光博)と、近く寿退社すると公言している1課の女性社員・浜本(朝倉あき)が、その謎に迫っていく。

 冒頭からストーリー展開の面白さは抜群。くせ者でユニークな八角を演じた野村の役者としてのすごさを感じさせる1本である。会議を控えた原島の心境吐露からスタートした映画の滑り出しなど構成も見事で、全体的な内容もわかりやすい。これぞ映画、エンターテインメントの王道と言いたくなる出来栄えだった。

 「フロントランナー」は、1988年の米大統領選で民主党候補指名争いの先頭に立つ可能性もあった当時コロラド州選出の上院議員、ゲイリー・ハートが女性問題で選挙戦本番を前に脱落する様子を描いた。

 2020年には現職トランプ氏の再選がかかる米大統領選があり、改めて米大統領選ほど過酷な選挙戦はないことを広く理解してもらううえで、ゲイリー・ハートは格好の題材だと思うが、映画としてはやや期待外れに終わった。

 ゲイリー・ハートは1984年の米大統領選の民主党候補指名争いにチャレンジし、ここでの善戦で一躍有名になった。当時、「ハート旋風」とも言われた。ちなみに、84年の大統領選は共和党のレーガン政権2期目をかけた選挙で、当時レーガンは圧倒的に強く、そもそも民主党に勝ち目はないとみられていた。この時、民主党大統領候補になったのは後に駐日大使になるモンデールで、初の女性副大統領候補を指名するなどしたが、レーガンとの本選は歴史的大敗に終わった。

 ハートは88年の大統領選民主党候補指名争いに満を持して再挑戦すると思われた。ところが、マイアミ・ヘラルド紙に不倫現場をスクープされ、支持率は急落。民主党予備選・党員集会の本番を迎える前に、あっけなく、撤退に追い込まれてしまう。映画は、メディアとの関係など、見るべきところもあったが、初動対応に失敗し、問題を甘く見て、火に油を注ぐ展開になったという表面的な事象の描写が目立ち、深みに欠けた。ハート役にヒュー・ジャックマン、妻のリー役にヴェラ・ファーミガ。監督はジェイソン・ライトマン。

野中広務先生没後1年 墓前で祈る

 野中広務先生(元官房長官、元自民党幹事長)が亡くなられてちょうど1年となる26日、先生が眠られている京都市内のお墓に行き、手を合わせてきました。激闘の政治生活でしたが、長年、先生を支え続けた妻のつた枝さん、早くに亡くした長男、次女とともに、安らかに眠られていることが伝わってきました。

 午後1時ごろにお墓に到着した時は、天気はすっかり晴れていました。その1時間近く前の市内中心部は雪が舞っていました。寺務所の方に案内してもらって、先生のお墓の前に行きました。天気は良かったのですが、風がけっこうあり、なんとかお線香3本に火がついたところで、マッチを使い果たしてしまいました。残りのお線香とローソク、寺務所の前で買ったシキミ、温かいペットボトルのお茶2本を墓前に供え、祈りを捧げました。

新作星取表2019-3

【日本映画】
「マスカレード・ホテル」★★★★
「この道」★★★

【外国映画】
「蜘蛛の巣を払う女」(英=ドイツ=スウェーデン=カナダ=米)★★★
「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」(米)★★★★


【採点基準】
★★★★★  90点~100点
★★★★    80点~89点
★★★     60点~79点
★★       40点~59点
★         0点~39点


 「マスカレード・ホテル」は、都内の一流ホテルで暗号による殺人予告があり、潜入捜査にあたる刑事とフロントクラークが犯人を追う東野圭吾の長編ミステリー小説の映画化で、主演は木村拓哉と長澤まさみ。監督は「HERO」の演出で知られる鈴木雅之がつとめた。キムタク主演の映画では最も出来がいい印象だ。

 都内で連続3件の殺人事件が発生した。犯行の手口はバラバラで、被害者にも共通点は見当たらないが、いずれの現場にも数字による暗号が残されていた。その暗号は次の犯行場所を予告しており、3件目の事件の現場にあった暗号は次の場所に「ホテルコルテシア東京」を指していた。

 このため、警視庁はホテルで刑事たちによる潜入捜査を行い、犯行を事前に食い止めることにした。その1人として送り込まれたのが新田(木村)で、ホテル側は新田の指導係として優秀なフロントクラークの山岸(長澤)を任命した。

 「マスカレード」とは仮面舞踏会の意。ホテルにはいろいろな事情を抱えた客がやって来る。いわば仮面を被っているわけだが、山岸はホテルのスタッフは決して客の仮面を剥ごうとしてはいけないという信念で仕事をしている。一方、刑事の新田はあらゆる人を疑うのが仕事で、ホテルの客であってももちろん例外はないという考えだ。2人は正反対の立場だが、徐々にお互いの仕事への姿勢や人間性に共感を覚えるようになっていく。

 原作があるとはいえ、ミステリーとしてはもうちょっとハラハラドキドキ感がほしいし、エピソードもイマイチと思えるものはあるが、ホテルという施設を存分に使い、カメラワーク、音楽の使い方もなかなかうまい。雰囲気はヒッチコック映画を少し彷彿とさせるものがあった。職業ものとしても十分成立している。特に長澤のキビキビした演技は好感が持てた。

 

新作星取表2019-2

【外国映画】
「ホイットニー~オールウェイズ・ラヴ・ユー~」(英)★★★★★
「クリード 炎の宿敵」(米)★★★


【採点基準】
★★★★★  90点~100点
★★★★    80点~89点
★★★     60点~79点
★★       40点~59点
★         0点~39点


 「ホイットニー~オールウェイズ・ラヴ・ユー~」は、1980年代から90年代を代表する米国の黒人女性歌手、ホイットニー・ヒューストンの栄光から転落、48歳の若さでの不慮の死まで、その実像に迫ろうとしたドキュメンタリー映画である。監督はアカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞の受賞歴を持つケビン・マクドナルド。ホイットニー・ヒューストン財団の初の全面協力を得て、膨大な過去の映像、未公開のホームビデオ、写真、音源などを駆使し、家族や周囲の関係者らの証言を積み重ね、見応え、迫力十分の内容に仕上げた。

 ホイットニーは、やはりプロの歌手だった母・シシーに歌を厳しく教え込まれて育った。初めてのソロでの公演はシシーの代役。これはシシーがホイットニーを引っ張り出すために一芝居打ったものだった。類まれな才能で仕事は順調に進んだが、その一方、両親の離婚、親友でアシスタントの同性愛者の女性との関係、著名な歌手だったボビー・ブラウンとの結婚・離婚、その2人の間にできた一人娘・クリッシーのことなど、公私にわたって、トラブルや悩みは尽きず、疲れ果てて変調をきたしていく。

 ホイットニーが破滅に向かう最大の原因は薬物だった。薬物中毒の状態を断ち切ることができなかったのは、母・シシーにも教えられない子供時代の秘密があったという。ここが、このドキュメンタリー映画の最大の衝撃的なところである。

 ホイットニーの仕事で語り継がれているのは、1991年1月のスーパーボウルでのアメリカ国歌「星条旗」の斉唱だ。本来、「星条旗」は3拍子だが、ホイットニーの歌声を生かすために4拍子にアレンジされた。時は湾岸戦争の最中で、米国民の愛国心が高揚していたことともマッチし、史上最高の国歌斉唱と絶賛され、伝説化している。この舞台裏の話も盛り込まれている。

 ホイットニーの頂点は、主演のケビン・コスナーの相手に抜擢されて出演した映画「ボディガード」が公開された1992年。この映画の主題歌「オールウェイズ・ラヴ・ユー」はホイットニー最大のヒット曲となった。1994年にアパルトヘイト廃止後の南アフリカでメジャーな歌手として初めて公演を行ったのもホイットニーである。映画の中で、ケビン・コスナーの証言、南ア公演でホイットニーが「オールウェイズ・ラヴ・ユー」を熱唱する場面も出てくる。
プロフィール

佐藤安律

Author:佐藤安律
(さとう・やすのり)
ジャーナリスト。1965年生まれ。大阪市立大学法学部卒。産経新聞記者として20年7カ月勤務し、政治部、夕刊フジ、大阪経済部などに所属。政治部では、厚相時代の小泉純一郎元首相、元自民党幹事長の野中広務氏らを担当した。産経新聞の年間連載「こども大変時代」で、取材班としてファイザー医学記事賞優秀賞を受賞。2011年8月からフリーランス。大阪市在住。得意分野は政治全般、日本映画、医療問題。原稿の依頼などコンタクトはyasunori7373@yahoo.co.jp

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