佐藤安律の「ニュースサイト1045」
元産経新聞記者で「炎のジャーナリスト」が、政治全般と映画(主に日本映画)を中心にマイオピニオンを発信します。あるべきブログの姿をめざして順次内容を刷新しています。2017年6月27日付で「佐藤安律の『映画と政治のブログ』」から名称を変更しました。
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「娘であること誇りに思う」と長女・多恵子さん 故野中広務元官房長官のお別れの会に3000人 京都
 官房長官や自民党幹事長などを歴任し、今年1月に92歳で亡くなった野中広務氏のお別れの会が14日、京都市下京区のホテルグランヴィア京都で営まれ、各界から約3000人が出席しました。自民党と野中家などの主催。実行委員長は二階俊博・自民党幹事長。出席した安倍晋三首相(自民党総裁)は「平和の番人たる先生の発する言葉のひとつひとつが、心の奥にまで響くすごみがありました」と追悼の辞を述べました。

 古賀誠元自民党幹事長、亀井静香元金融担当相、鈴木宗男・新党大地代表ら、野中氏と特に親しかった政治家はもちろん、野中幹事長の時の首相だった森喜朗氏、同じ自民党竹下派出身ながら政敵の関係にあることも多かった小沢一郎・自由党代表、野中氏が官房長官として仕えた故小渕恵三元首相の夫人・千鶴子さん、野中氏とテレビ番組で対談するなど親交があった作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんらも出席されていました。

 私も出席し、祭壇中央の野中氏がお元気だったころの遺影に向かって、心からの敬意と謝意を伝え、献花させていただきました。

 遺族を代表して、野中氏の長女である河合多恵子さんがあいさつをされました。私がお別れの会に出席したのは、取材とは一切関係なく、メモを取らなかったので、以下、紹介するあいさつは、つながりや言葉づかいは正確性に欠けますが、心に響くものがありました。

 多恵子さんは、野中氏死去を知った全国の人たちから心温まる弔意が寄せられ、また死去に伴うメディアの野中氏の評伝を読み、「娘であること、家族であることを誇りに思いました」「大きな喪失感を埋めることできました」との趣旨を述べられました。

 野中氏は京都の地方政界で名を馳せ、国政へは57歳で転身と遅咲きでした。そこから、卓越した情報収集力と言論を武器に、政界の出世階段を異例のスピードで駆け上がりました。政敵には極めて恐れられる一方、情が深く、弱者に寄り添う政治姿勢を貫きました。この点は、野中氏を語るとき、誰もが指摘することです。多恵子さんは野中氏の政治生活について、「長く孤独な戦いでした」とおっしゃられましたが、わかる気がします。多恵子さんが野中氏のことを「お父さん」と呼ぶところは、グッとくるものがありました。

 お別れの会では、野中氏の在りし日の姿をしのぶビデオが上映されました。野中氏の政治生活50周年を記念し、担当記者たちが2002年10月に催したパーティーで上映されたものです。パーティーには私も出席しました。歴代の野中氏の担当記者たちが集まり、新聞社、通信社、テレビ局と、会社ごとに野中氏と記念写真を撮りました。とても懐かしく思います。このように、野中氏は記者たちからも人気がありました。

 政治記者をやっていて、担当した政治家が好きになれないことはいくらでもあります。親しくしていても、担当を離れ、ましてや政治部を離れると、徐々に疎遠になり、それっきりになってしまうことがほとんどです。私が野中氏の番記者をしたのは結果的に政治部での最後の仕事となり、短い期間だったのですが、政治部を離れた後も、時々、携帯電話に連絡をいただき、何度かお会いする機会がありました。野中氏と出会えたことは私の新聞記者時代の最大の財産の1つであり、気にかけていただいたことを光栄に思います。

 野中先生、さようなら。お別れですが、先生のことは、これからもいろいろな場面で、しょっちゅう思い出すでしょう。私だけでなく、関係した多くの人たちの心の中で、野中先生は生き続けるはずです。

「女中ッ子」
 秋田の寒村から上京してきた素朴なお手伝いさんと、反抗的な態度で周囲を悩ます小学生の次男坊の信頼関係と別れを描いた田坂具隆監督の心温まる秀作である。1955年の日活作品。原作は芥川賞作家・由起しげ子の同名小説。キネマ旬報ベスト・テン第7位。京都文化博物館で開催中の「近代文学と映画2 女流作家篇」で鑑賞した。

 田坂は戦前から名匠として知られたが、兵役中に広島で被爆。戦後は体調が芳しくなく、休養と復帰を繰り返した。映画会社を転々とし、最後は東映で優れた作品を残したが、古巣は日活。その日活が戦後、映画製作を再開し、田坂は3年の闘病生活を経て古巣でメガホンを取ることになった。それが左幸子主演の「女中ッ子」である。

 左扮する織本初がお手伝いさんとしてやってきたのは、大手時計会社総務部長の加治木一家だ。夫妻(佐野周二と轟夕起子)と長男、次男、親戚の娘の5人暮らし。周囲の言うことを聞かず、腕白坊主の次男の勝美(伊庭輝夫)は、初にも反抗的だったが、あることから2人の距離は一気に縮まる。

 勝美は家族にだまって物置小屋で、子犬を飼っていた。それが初に知られてしまう。初も犬が大好きだった。初は勝美が学校に行っている間、自分が面倒を見てやると約束した。勝美が子犬を飼っていることはやがて家族にばれるが、初は自分が責任を持つので、なんとか勝美に子犬を飼わせてやってほしいと頼み、事なきを得た。

 その前に、ちょっとしたトラブルがあった。勝美の母・梅子(轟)がクリーニングに出した大事なコートが家に戻ってきたのだが、いつの間にかなくなってしまった。勝美がコートを持ち出し、子犬の寝具として使っていたのだ。これも初に見つかり、勝美は「コートを捨ててしまったらいい」と言う。初は「そんなことをしてはだめだ」と、コートを引き取った。

 初は正月休みでの帰省から加治木家に戻ってきた時に、そっと梅子の箪笥の中にコートを入れたのだが、初が戻ってきたのと同時に、コートが見つかれば、当然、犯人は初と疑われてしまう。梅子も初の仕事ぶりを評価し、信頼していただけに、「まさか初とは」と残念がる。初にとって、加治木家の居心地はよく、まだまだ仕事をしたかったが、決して勝美がコートを持ち出したとは言わず、すべてを被って家を出ていくのだった。

 故郷に戻る初は、その途中に、勝美の小学校に立ち寄った。勝美は初の事情を一切知らず、初に「学校には来るなよ。みんなから『女中ッ子』て言われるじゃないか」とにべもない。悲しそうな顔をする初だが、勝美はすぐにニコッと笑い、手を振った。初も安心したように笑顔を返した。これが2人の別れとなった。

 この厳しめのラストが感動的だった。左幸子は「女中ッ子」の演技で評価を高めたらしいが、本当に素晴らしかった。子供たちの描き方も秀逸で、映画として完璧な内容だったと思う。


新作星取表2018-5
【日本映画】
「素敵なダイナマイトスキャンダル」★★★★
「honey」★
「ニッポン国 VS 泉南石綿村」★★★★

【外国映画】
「トレイン・ミッション」(米=英)★★★
「レッド・スパロー」(米)★★★★
「バーフバリ 王の凱旋」(インド)★★★
「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」(米)★★★


【採点基準】
★★★★★  90点~100点
★★★★    80点~89点
★★★     60点~79点
★★       40点~59点
★         0点~39点


 ドキュメンタリーの鬼才・原一男監督の最新作「ニッポン国 VS 泉南石綿村」。明治の終わりから石綿産業が栄え、最盛期には200以上の工場があったといわれる大阪・泉南地域だが、その代償として、地域には深刻な健康被害が発生し、元従業員や近隣住民たちは国の責任を問い、国家賠償請求訴訟を起こした。映画は、原監督が8年間にわたって訴訟原告団の活動を追った記録である。

 休憩をはさんで、前半と後半で上映時間215分の長尺。後半に入って、映画はぐいぐいと見せる。訴訟原告団の中心メンバーの一部が首相官邸や厚生労働省を訪ね、国の誠意ある対応を求めようとする。被害を受けた地域の住民たちが次々と命を落としていくなか、時間はもう残されていないとの思いからだ。しかし、こうした直接行動や国の対応などを巡っては、訴訟原告団や弁護団の中にいろいろな意見や受け止め方があり、映画はその実情を伝える。

 単に裁判闘争の記録というだけでなく、原告団の人間模様に迫ろうとしているのが見どころだ。大手メディアは表面的で体裁ばかりを重視した報道が目立つだけに、ドキュメンタリー映画ならではの役割・意義を発揮した内容だったと思う。

 ドキュメンタリーは独自で、しかも的確な視点、切り口が重要だ。しかし、視点や切り口だけではだめで、まずは、対象を十分に調べ、時間と労力をかけて密着、追いかけていくことが欠かせない。そう考えさせられる映画だった。ただ、そのためには、資金面の制約が問題になってくるだろう。

新作星取表2018-4
【日本映画】
「北の桜守」★★★
「去年の冬、きみと別れ」★★★
「ちはやふるー結びー」★★★★

【外国映画】
「シェイプ・オブ・ウォーター」(米)★★★★
「ヒューマン・ハンター」(カナダ)★★


【採点基準】
★★★★★  90点~100点
★★★★    80点~89点
★★★     60点~79点
★★       40点~59点
★         0点~39点


 末次由紀の人気漫画の実写映画化で、競技かるたに打ち込む高校生たちの青春をハイテンションに描いた「ちはやふる」の最終章。監督・脚本は小泉徳宏。2016年に公開された「上の句」と「下の句」では、主人公の千早(広瀬すず)をはじめとする瑞沢高校かるた部の部員たちは1年生だったが、「結び」では3年生。東京都予選、全国大会と最後の戦いに臨む部員たちのドラマが繰り広げられる。

 悲願の団体戦での全国制覇に燃える千早たちだったが、部長で大黒柱の太一(野村周平)が、受験勉強とクラブ活動の両立が困難になって退部し、一転、かるた部はピンチを迎える。一方、千早、太一と一緒に小学生時代にかるたを覚え、福井県にいる新(新田真剣佑)は高校にかるた部を立ち上げ、全国大会出場を決め、千早たちとの対戦を楽しみにしていた。

 最終章のストーリーや演出に特筆すべきものは感じられなかった。しかし、自分たちの汗と涙の結晶であるかるた部を後輩たちにずっと引き継いでいってほしいとの千早の思い、高校卒業後の進路を決めていなかった千早が最後の大会を通じて自分の道を見つけるところがサラリと描かれていて、胸に響いてくるものがあった。ここをもう少し掘り下げるとよかったかもしれない。

 「上の句」「下の句」「結び」の3作を通じての感想は、競技かるたを取り上げたのはやはり斬新。観ていて心地よい、元気を与えてくれる好感度の高い青春映画だったと思う。このため、★をひとつおまけした。もう1作、2作やってほしかったが、役者たちも年齢を重ねるため、こうした高校生の物語を続けていくのは限界があるそうだ。





北朝鮮の金委員長訪中、中朝首脳会談の見方強まる トランプ米大統領の圧力奏功か
 26日、27日と中国・北京に入った北朝鮮要人一行のトップは、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長であり、滞在中に中国の習近平国家主席と、中朝首脳会談を行ったとの見方が一段と強まっている。事実なら、金委員長の外国訪問は最高指導者就任以来初めて。中朝の国営メディアが28日にも正式に伝えるとみられる。

 南北首脳会談、さらに米朝首脳会談を控え、北朝鮮が中国の後ろ盾を求めたとみる関係者が多い。金委員長は、トランプ米大統領の出方を恐れているようだ。トランプ大統領は、米朝首脳会談シフトとして、国際協調派のティラーソン国務長官、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)を解任し、それぞれの後任に対北朝鮮強硬派として知られるポンペオ中央情報局(CIA)長官、ボルトン元国連大使を指名している。北朝鮮が核・ミサイル開発を推進するための時間稼ぎをしているとみれば、トランプ政権が強硬策に踏み込む可能性は体制的には強まっている。

 中国と北朝鮮の関係については、朝鮮戦争以来の歴史的友好関係は基本的に変わっていないというものから、すでに歴史的友好関係は崩れ、普通の隣国になっているという指摘まで、見方はいろいろある。金委員長と習主席とのトップ会談がこれまで一度も開かれてこなかったことを考えると、特殊な関係が続いているとしてもかなりドライになっているとみるのが妥当なように思える。

 中国は北朝鮮を見捨てたとの説もあるが、自国の安全保障上の最大の脅威は米国で、その点は北朝鮮と共通している。中国側からすると、北朝鮮カードを持っていることが依然として有効なのは言うまでもない。



プロフィール

佐藤安律

Author:佐藤安律
(さとう・やすのり)
ジャーナリスト。1965年生まれ。大阪市立大学法学部卒。産経新聞記者として20年7カ月勤務し、政治部、夕刊フジ、大阪経済部などに所属。政治部では、厚相時代の小泉純一郎元首相、元自民党幹事長の野中広務氏らを担当した。産経新聞の年間連載「こども大変時代」で、取材班としてファイザー医学記事賞優秀賞を受賞。2011年8月からフリーランス。大阪市在住。得意分野は政治全般、日本映画、医療問題。原稿の依頼などコンタクトはyasunori7373@yahoo.co.jp

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