佐藤安律の「ニュースサイト1045」
元産経新聞記者で「炎のジャーナリスト」が、政治全般と映画(主に日本映画)を中心にマイオピニオンを発信します。あるべきブログの姿をめざして順次内容を刷新しています。2017年6月27日付で「佐藤安律の『映画と政治のブログ』」から名称を変更しました。
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株式市場は衆院解散・総選挙を好感 民共共闘は小沢一郎氏の調整に期待
 19日の東京株式市場は、安倍晋三首相が28日召集の臨時国会冒頭で衆院解散に踏み切り、10月10日公示ー22日投開票の日程で総選挙が行われるとの報道を好感し、日経平均株価の終値は前週末比389円88銭高の2万299円38銭となり、一気に年初来高値を更新した。上げ幅は5月8日の450円高以来の大きさ。

 安倍首相は2019年10月の消費税率10%への引き上げを予定通り実施し、増税分の使途を国の借金返済から子育て支援や教育関連施策に変更することなどを問うと、伝えられている。市場は、野党側が混乱していることなどから、与党勝利の可能性が高く、安倍首相の政権基盤が強化され、アベノミクスの加速を期待しているようだ。

 外国人投資家のアベノミクスへの評価は今でも高く、森友学園や加計学園問題での対応の拙さから安倍内閣の支持率が急落しているころ、「もし安倍首相が退陣するような事態になった場合、日経平均株価は数千円暴落するのではないか」と、指摘する市場関係者は少なくなかった。

 私は、アベノミクスや安倍政権が推進した安全保障法制の整備は基本的に支持する。だからといって、自民党と公明党との連立政権の枠組みがいつまでも続き、ますます強固になるのが日本の政治のあり方にとっていいことなのか、やはり政権与党のおごりをチェックする野党勢力が一定数あってこそ、緊張感が保たれるのではないかと考える。

 衆院選はたしかに政権選択の選挙だが、2009年と2012年の衆院選による政権交代は、いずれも時の与党に大逆風が吹いていた。今、安倍政権にかつての勢いは見られないが、そこまでの逆風ではなく、むしろ、野党側の混迷が目立つ。安倍首相が悲願の憲法改正の戦略を練り直してでも政権維持を優先し衆院解散を断行する。東京都議選で小池百合子知事側につき、自民党を惨敗させた公明党が、衆院選では従来通り全面的に自民党と協力する。

 政権与党側はなりふり構わないのに、民進党の前原誠司代表は「基本的な理念・政策が一致しないところと協力しても、勝った後に連立を組もうとはならない」と、ある意味で正論を吐き、一定の成果を上げてきた共産党との共闘に否定的だ。しかし、そんなことを言っている場合なのか。建前はともかく、今回は自民・公明両党から民進党に政権交代が起きるような状況ではない。前原氏は共産党との共闘見直しを掲げて民進党代表選に勝利しており、全国で共産党を含む野党統一候補を擁立するのは難しいだろうが、まずは強力な与党とある程度勝負できる態勢をつくらないことには話にならない。

 この野党共闘の態勢づくりには、前原氏とも共産党とも話ができる自由党の小沢一郎共同代表の調整手腕に期待したい。

新作星取表2017-25
【日本映画】
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」★★
「幼な子われらに生まれ」★★★★
「関ヶ原」★★
「トリガール!」★★
「ケアニン~あなたでよかった~」★★★
「狂覗」★★★
「散歩する侵略者」★★★★
「三度目の殺人」★★★

【外国映画】
「ベイビー・ドライバー」(米)★★★
「スキップ・トレース」(米=中国=香港)★★
「ワンダーウーマン」(米)★★
「パターソン」(米)★★★


【採点基準】
★★★★★  90点~100点
★★★★    80点~89点
★★★     60点~79点
★★       40点~59点
★         0点~39点


 是枝裕和監督が自身のオリジナル脚本により初めて挑んだ法廷心理劇で、ベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品されたことでも話題を集めた「三度目の殺人」。役所広司が自分を解雇した社長を殺害し金を奪ったとして強盗殺人罪で起訴された被告人役、福山雅治が法廷はあくまで法を使って勝敗を決めるところだと考えてきたクールな弁護士役を演じる。

 法廷や拘置所のセット、そこでのやり取りなどは徹底してリアリティーにこだわり、なかでも福山と役所の拘置所の面会室での対決が最大の見どころとされる。役所演じる被告人が供述をコロコロと変え、福山扮する弁護士が困惑し、真実に迫ろうと苦闘する。被告人の供述の変転には、殺害された社長の娘(広瀬すず)の秘密が絡んでいる。

 ストーリーは違っても、法廷は真実を追求する場にはなっていないというテーマの国内外の映画は過去にもいろいろあったし、「三度目の殺人」の3度目が何を意味するのかも、前宣伝ではいかにも意味深に言われていたが、これもすぐわかる。小難しい内容ではなく、無駄なく仕上がっている点は評価できるが、いまひとつ、深みに欠け、斬新な視点も感じられなかった。最後は観る者の判断に任せるかのようなラストもお決まりのパターンで、ひとひねりほしい。悪くはないものの、期待が大きかったこともあり、厳しめの採点となった。


「神様のくれた赤ん坊」
 ある日突然、小さな子供を押し付けられた男と同棲中の女が、子供の本当の父親を探して、広島・尾道と九州各地を訪ね歩くロードムービー、「旅行もの」の傑作である。1979年の松竹作品。監督は前田陽一。松竹伝統の喜劇に新たな視点でスパイスを加えたような見事な1本だ。主演は桃井かおりと渡瀬恒彦。キネマ旬報ベスト・テン第4位。大阪・九条のシネ・ヌーヴォで開催中の特集上映「荒井晴彦映画祭 70になった全身脚本家」で鑑賞した。

 井伏鱒二原作、中村登監督の「集金旅行」(1957年)のリメイクとして企画されたが、そのままリメイクしたのでは時代に合わず、前田、荒井、南部英夫の3人が脚本を分担し、実質的にオリジナルの内容に仕立て上げた。ちなみに「集金旅行」は佐田啓二と岡田茉莉子の主演で、松竹はこの作品をきっかけに「旅行もの」を積極的に作り出し、「男はつらいよ」シリーズにつながっていく。

 渡瀬扮する三浦晋作は芸能事務所でエキストラのアルバイトをしながらプロの漫画家を目指している。駆け出し女優の森崎小夜子(桃井)と同棲している自宅に、見知らぬ女(樹木希林)が突然、新一という名前の男の子を連れて訪ねてきた。新一の母親が男をつくって駆け落ちし、置き手紙には新一の父親は誰かわからないが、候補は晋作を含めて5人いると書かれていたのだ。女は母親宅の隣人で、あとは父親の可能性がある晋作が対処すべきだと、新一を置いて帰っていった。

 小夜子は「晋作と新一。あんたが名付けたんじゃないの」と呆れるが、晋作が新一を連れての父親探しの旅に同行する。小夜子は最愛の母を失って天涯孤独の身で、母と暮らした故郷の記憶がおぼろげながらに残っており、旅は母との過去、自分のルーツを辿る目的を兼ねていた。旅の途中で、小夜子は母が娼婦だったことを知る。品のいいけだるさを漂わせ、愛嬌、ユーモアたっぷりに小夜子を演じた桃井が素晴らしく、感動的でさえあった。セリフ、しぐさなど桃井以外では出せない味だ。桃井は同年、「もう頬づえはつかない」と「神様のくれた赤ん坊」の演技で多くの共感を集め、主要な主演女優賞を独占。芸術選奨新人賞にも輝いた。

 渡瀬も好演だったし、晋作はもちろん、それ以外の父親候補たちとその周辺のキャラクターの面白さ、全体を貫くユーモアセンス、物語のバランスなど、感心させられる内容だった。山田洋次がこの映画を観て気に入り、「男はつらいよ 寅次郎春の夢」との併映になったそうである。





息を吹き返す安倍政権 前原民進党も大きく貢献
 加計学園問題や東京都議選での歴史的惨敗などによりダウン寸前に追い込まれていた安倍政権が息を吹き返してきた。9月のNHK世論調査によると、安倍内閣の支持率は「支持する」が先月から5ポイント増の44%、「支持しない」が7ポイント減の36%。3か月ぶりに、「支持する」が「支持しない」を上回った。10月22日実施のトリプル衆院補選(青森4区、新潟5区、愛媛3区)で与党が全勝すると、この流れはより強まりそうだ。

 安倍政権の失速に歯止めがかかった要因は大きく3つあると思う。1つは、北朝鮮による弾道ミサイル発射や核実験強行への対応を巡り、安倍晋三首相がトランプ米大統領との強固な信頼関係やロシアのプーチン大統領とのパイプを見せつけていることだ。安倍首相の首脳外交は国際社会での評価も高く、安倍政権の最大の強みの1つといっていいかもしれない。

 それと、内閣改造が一定の評価を受け、まずは無難なスタートを見せていることである。この点は、臨時国会を控え、答弁能力に不安を抱える閣僚がいるし、新たな不祥事でも飛び出すと、局面は一気に変わりかねない。もう1つ、決定的に大きいのが、新執行部発足に伴う混乱が拍車をかけた民進党への一層の失望だ。前原誠司代表率いる民進党執行部は、蓮舫前代表のそれよりもさらに迫力を欠く顔ぶれと、私には映る。ただ、前原氏の信頼が厚いとされる大島敦幹事長は地味だが、党内の人物的評価は高いらしく、未知数の政治手腕に注目したい。

 とにかく、民進党はまとまっていることが大切だ。「安倍1強」も意外な脆さを露呈したように、チャンスはいつ来るかわからない。次期衆院選での共産党との共闘は、先の民進党代表選で前原氏と争った枝野幸男代表代行が言っていたように、あくまで与党に対抗するための戦術と考えたらいいのだ。実際に昨年の参院選などで成果を上げており、一定の野党勢力が必要と考える立場からすると、可能な範囲で柔軟に推進すべきだと思う。

「野党再編の動きに活路を」 山崎拓氏が石破元幹事長にアドバイス 日経インタビュー
 自民党の山崎拓元副総裁が日本経済新聞の5日付朝刊オピニオン面に登場し、その政局観に基づく発言内容が目を引いた。ポスト安倍を巡り、世論の人気は少し高まってきたものの、自民党内で孤立を深める石破茂元幹事長が有利な立場にあるとの見方を示し、小池百合子東京都知事、前原誠司民進党代表とのトライアングルによる野党再編に活路を見いだすべきだと、アドバイスしているのだ。

 山崎氏は同紙のインタビューの中で、来年秋の自民党総裁選で安倍晋三首相の3選があるかについて、「そうはいかないと思う。仮に第2次朝鮮戦争のような事態に発展すれば、3選もありえるが……」と否定的な見通しを述べた。ポスト安倍の見立てでは、「『ポスト安倍』は今の憲法改正の流れに異を唱えた人だ。石破氏は有利だ。改憲案ができたときに憲法学者は一斉に異を唱えるだろう。さすがにその話には公明党はのれないと思う」と指摘した。

 そのうえで、小池氏の動向に関し、「小池氏は保守の人だが、リベラルの方にも振ったほうがいい。石破氏、前原氏、そして小池氏。このトライアングルができれば、かなり野党勢力が強くなる。選挙も強くなる。石破氏は野党の再編の動きに活路を見いだすべきだ」と発言している。

 山崎氏のアドバイスを意識したのかどうか知らないが、石破氏は5日、名古屋市内で講演。次期衆院選では2019年10月に予定される消費税率10%への引き上げ是非が最大のテーマになるとの見方を示し、「たんなる嫌なことの先送りでは、国家は滅びる」と、過去2度にわたって消費税率10%への引き上げを延期した安倍首相を牽制した。先の民進党代表選でも、消費税率の引き上げは争点になっており、前原氏は予定通りの引き上げ実施を容認する見解を表明して注目された。

 山崎氏もインタビューで語っているように、石破氏は来年秋の自民党総裁選に立候補することを優先するだろう。野党再編に石破氏とその同調者が絡む展開は、それぞれの選挙区事情もあって相当な困難が伴い、現時点で実現可能性は乏しいように思う。しかし、2000年の「加藤の乱」をはじめ、当時の民主党との連携を何度か模索し、勝負どころの重要性を知り尽くす山崎氏の意見は傾聴に値する。石破、小池、前原3氏の言動には注意を払っていきたい。



プロフィール

佐藤安律

Author:佐藤安律
(さとう・やすのり)
ジャーナリスト。1965年生まれ。大阪市立大学法学部卒。産経新聞記者として20年7カ月勤務し、政治部、夕刊フジ、大阪経済部などに所属。政治部では、厚相時代の小泉純一郎元首相、元自民党幹事長の野中広務氏らを担当した。産経新聞の年間連載「こども大変時代」で、取材班としてファイザー医学記事賞優秀賞を受賞。2011年8月からフリーランス。大阪市在住。得意分野は政治全般、日本映画、医療問題。原稿の依頼などコンタクトはyasunori7373@yahoo.co.jp

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