佐藤安律の「ニュースサイト1045」
元産経新聞記者で「炎のジャーナリスト」が、政治全般と映画(主に日本映画)を中心にマイオピニオンを発信します。あるべきブログの姿をめざして順次内容を刷新しています。2017年6月27日付で「佐藤安律の『映画と政治のブログ』」から名称を変更しました。
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新作星取表44
【日本映画】
「溺れるナイフ」★★
「幸福のアリバイ~Picture~」★

【外国映画】
「ジャック・リーチャー NEVER GO BACK」(米)★★★★
「弁護人」(韓国)★★★★★


【採点基準】
★★★★★  90点~100点
★★★★    80点~89点
★★★     60点~79点
★★       40点~59点
★         0点~39点


 韓国の故盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の実話を基にした「弁護人」は、見応え十分だった。全斗煥(チョン・ドゥファン)政権初期の1981年9月に釜山で起きた社会科学書籍勉強会の学生や社会人らを逮捕、不法監禁して拷問した「釜林(プリム)事件」を題材にしている。盧武鉉元大統領は弁護士時代に事件を担当し、政治や社会問題に深く関わるようになった。

 映画の主人公はソン・ウソク。韓国屈指の名優、ソン・ガンホが演じた。ウソクは高卒の学歴で司法試験を突破。裁判官になったが、法曹界での学歴による根強い差別に嫌気がさし、金儲け第一主義の弁護士になる。司法書士の仕事であった不動産登記が法改正により弁護士も参入できるようになったことから、まずこの分野に力を入れた。他の弁護士たちも乗り出してくると、今度は商業高校出身で財務諸表が読めることを活かし、税金専門弁護士を看板に成功をおさめる。

 軍事政権に反対する学生たちのデモは激しかったが、ウソクは「勉強が嫌いでデモをやっているんだ」と、社会や政治の情勢に関心を示さなかった。ところが、恩義を感じる行きつけの食堂の女主人の一人息子である大学生・ジヌが1カ月にわたって行方不明になる。ジヌら学生たちが公安当局に逮捕され、拷問を加えられて、国家保安法違反の罪をでっちあげられようとしていることが分かり、ウソクは彼らの無実を証明するため、断固として立ち上がった。

 映画は、朴正煕大統領暗殺事件後に台頭した民主化ムードを、クーデターにより軍内部の実権を掌握した全斗煥将軍らが徹底して弾圧し政権を樹立、「冬の時代」を迎えた韓国社会の雰囲気をよく伝えている。映画の中で、公安当局の担当者は、北朝鮮のかく乱工作や共産主義思想の浸透を阻止するために、事件をでっちあげて国民に警鐘を鳴らす必要があるんだとの趣旨の発言をしている。社会派ヒューマンドラマの傑作というだけでなく、北朝鮮の脅威に直面する当時の軍事政権、特に全斗煥政権の韓国を理解するうえで貴重な内容の映画になっていると思う。韓国では、観客動員数が1100万人を超える大ヒットを記録した。監督・脚本はヤン・ウソク。これが長編映画デビュー作というから驚きだ。
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佐藤安律

Author:佐藤安律
(さとう・やすのり)
ジャーナリスト。1965年生まれ。大阪市立大学法学部卒。産経新聞記者として20年7カ月勤務し、政治部、夕刊フジ、大阪経済部などに所属。政治部では、厚相時代の小泉純一郎元首相、元自民党幹事長の野中広務氏らを担当した。産経新聞の年間連載「こども大変時代」で、取材班としてファイザー医学記事賞優秀賞を受賞。2011年8月からフリーランス。大阪市在住。得意分野は政治全般、日本映画、医療問題。原稿の依頼などコンタクトはyasunori7373@yahoo.co.jp

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