佐藤安律の「ニュースサイト1045」
元産経新聞記者で「炎のジャーナリスト」が、政治全般と映画(主に日本映画)を中心にマイオピニオンを発信します。あるべきブログの姿をめざして順次内容を刷新しています。2017年6月27日付で「佐藤安律の『映画と政治のブログ』」から名称を変更しました。
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「砂の器」
 原作者の松本清張を「原作を上回る出来」とうならせ、興行的にも大ヒットした野村芳太郎監督の代表作である。清張文学の映画化で最高傑作と評価されることが多い。1974年の松竹と橋本プロダクションの提携作品。脚本は橋本忍と山田洋次。キネマ旬報ベスト・テン第2位、毎日映画コンクール日本映画大賞など数々の賞に輝いた。TOHOシネマズなんばの「午前十時の映画祭」で鑑賞した。

 橋本プロダクションは、橋本忍が1973年に、野村芳太郎、映画監督の森谷司郎らと設立。同プロにとっては、「砂の器」が第1回作品となった。

 国鉄蒲田駅操車場構内で1人の男の他殺体が発見される。捜査は難航するが、警視庁のベテラン刑事・今西(丹波哲郎)はトリスバーのホステスのわずかな証言を頼りに、東北から山陰まで各地を訪ね歩き、ついに真相を突き止める。容疑者として浮かんだのは期待の天才ピアニスト・和賀英良(加藤剛)だった。

 和賀は幼少期に、かつて不治の病とされたハンセン病の父(加藤嘉)と2人で故郷を去り、巡礼の旅を続けた。道中にも、父子は、さまざまな差別を受けた。そんな時、父子は人情味あふれる巡査・三木(緒形拳)と出会った。三木は父子に誠心誠意の対応を見せ、父子にとっては大恩人というべき存在となった。月日が流れ、すでに隠居の身の三木は偶然にも、旅先の映画館に飾ってあった写真で、自分が世話をした子が立派な音楽家になっていることを知った。三木は旅行の予定を変更して上京、和賀を訪ねたが、戸籍を改ざんし過去を消していた和賀は三木を殺してしまった。

 映画「砂の器」は社会派サスペンスのジャンルに入るのかもしれないが、犯人探しや謎解きはメインでなく、父子の悲しい宿命、天才ピアニストの栄光と挫折を描いた人間ドラマになっている。クライマックスには、父子の巡礼の旅をもってきた。松本清張の小説では巡礼の旅は少し書いている程度だが、橋本忍と山田洋次が映画用に構成した。これに、天才ピアニスト・和賀が新曲を披露するコンサートをかぶせている。新曲は、「砂の器」のテーマ曲にもなっている菅野光亮作曲の「宿命」である。東京交響楽団がオーケストラ演奏する美しくも切ない「宿命」に乗せて、各地の四季折々の風景を織り込んだ壮大な巡礼の旅の映像を流し、父子の知られざる過去を明かしていく。約30年ぶり、4回目か5回目の鑑賞だったが、音楽が効果的で涙がボロボロこぼれた。

 出演者の中で一番良かったのは丹波哲郎である。クライマックスとなった父子による巡礼の旅の映像は、警視庁の合同捜査会議で、丹波哲郎扮する今西刑事が解明した事件の全容を報告するのに合わせて流れていく。今西刑事は全体的にも狂言回しのような役割なのだが、丹波哲郎の味わいのある円熟したキャラクターがうまくフィットしており、この作品が大成功した功労者と言ってもいいと思う。

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佐藤安律

Author:佐藤安律
(さとう・やすのり)
ジャーナリスト。1965年生まれ。大阪市立大学法学部卒。産経新聞記者として20年7カ月勤務し、政治部、夕刊フジ、大阪経済部などに所属。政治部では、厚相時代の小泉純一郎元首相、元自民党幹事長の野中広務氏らを担当した。産経新聞の年間連載「こども大変時代」で、取材班としてファイザー医学記事賞優秀賞を受賞。2011年8月からフリーランス。大阪市在住。得意分野は政治全般、日本映画、医療問題。原稿の依頼などコンタクトはyasunori7373@yahoo.co.jp

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