佐藤安律の「ニュースサイト1045」
元産経新聞記者で「炎のジャーナリスト」が、政治全般と映画(主に日本映画)を中心にマイオピニオンを発信します。あるべきブログの姿をめざして順次内容を刷新しています。2017年6月27日付で「佐藤安律の『映画と政治のブログ』」から名称を変更しました。
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「マダムと女房」
 日本映画で最初の本格的なトーキーとなった記念碑的な作品である。1931年の松竹蒲田製作で、監督は五所平之助。猫の鳴き声やジャズ演奏など音をテーマに、東京郊外の新興住宅に引っ越してきた劇作家を主人公とする軽快な小市民喜劇になっている。キネマ旬報ベスト・テン第1位。京都文化博物館で開催中の特集上映「【日本映画120年記念企画】古典・名作映画ノススメ①」で鑑賞した。

 劇作家の芝野新作(渡辺篤)は締め切りが迫っているにもかかわらず、脚本の執筆が一向に進まない。原因は、天井裏のネズミの足音や赤ちゃんの泣き声などにより集中力を欠くことにあった。そこへ、隣家から大音量のジャズ演奏が聞こえてきた。怒り心頭に発した新作は怒鳴り込みに行くが、出てきたのはモダンなマダム(伊達里子)。新作は抗議できずに、そのままマダムに取り込まれ、自らもジャズ演奏に興じてしまう。

 新作の家の窓から、新作とマダムが楽しそうに話しこんでいるのを見た女房(田中絹代)はやきもちを焼く。しかし、この出来事が新作にプラス効果をもたらした。ジャズに感化された新作は家に戻ってくると、猛烈なスピードで脚本を書き上げていくのだった。女房の機嫌もなおり、新作一家が足取りも軽く近所を散歩しているところで映画は終わる。

 女房役の絹代が、夫の新作に呼びかける「ねぇ、あなた」の甘ったれた声が当時の男性ファンを魅了し、流行語になったことは有名だ。

 監督の五所は、いわゆる「蒲田調(大船調)」の先駆者である島津保次郎の門下。五所は絹代の持ち味を引き出すことに定評があり、絹代を主役にいくつもの優れた作品を残した。絹代を語るときには絶対に欠かせない監督である。

 ただ、この「マダムと女房」の女房役は当初別の女優がつとめており、撮影も進んでいたのだが急きょ降板。ピンチヒッターを頼まれた絹代は自分の下関なまりを理由に出演をしぶったが、五所に口説かれ、最後は窮地に同情したようである。絹代が心配した下関なまりは、愛嬌があると、好評を博したのだった。

 


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佐藤安律

Author:佐藤安律
(さとう・やすのり)
ジャーナリスト。1965年生まれ。大阪市立大学法学部卒。産経新聞記者として20年7カ月勤務し、政治部、夕刊フジ、大阪経済部などに所属。政治部では、厚相時代の小泉純一郎元首相、元自民党幹事長の野中広務氏らを担当した。産経新聞の年間連載「こども大変時代」で、取材班としてファイザー医学記事賞優秀賞を受賞。2011年8月からフリーランス。大阪市在住。得意分野は政治全般、日本映画、医療問題。原稿の依頼などコンタクトはyasunori7373@yahoo.co.jp

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