佐藤安律の「ニュースサイト1045」
元産経新聞記者で「炎のジャーナリスト」が、政治全般と映画(主に日本映画)を中心にマイオピニオンを発信します。あるべきブログの姿をめざして順次内容を刷新しています。2017年6月27日付で「佐藤安律の『映画と政治のブログ』」から名称を変更しました。
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「硝子のジョニー 野獣のように見えて」
 再生日活を中心となって支えた人気女優の1人で、清純可憐さを持ち味とした芦川いづみ。その魅力を生かしながら新境地に挑み、女優としての才能を開花させたと高い評価を受ける彼女の代表作の1つである。1962年の日活作品。監督は蔵原惟繕で、脚本は山田信夫。大阪・九条のシネ・ヌーヴォで開催中の特集上映「生誕90年 映画監督 蔵原惟繕」で鑑賞した。

 芦川が扮するのは、北海道・稚内の寒村で、母や弟妹たちと昆布採りをして生活する娘のみふね。一家は極貧の生活で、みふねは、元歌手で関西弁を使う秋本という男(アイ・ジョージ)に売られてしまう。みふねは頭が弱いが、きれいな心の持ち主で、いつか透き通ったな王子のような男性が現れて、自分を助けてくれると信じ込んでいる。その理想の男性が「ジョニー」なのだ。

 みふねは、秋本に連れられていくが、途中で脱走し、出発直前の汽車に乗り込んだ。無賃乗車で係員に問い詰められて困っていたところを助けてくれたのが、乗客で競輪の予想屋をしている流れ者のジョー(宍戸錠)だった。

 汽車は函館駅に到着したが、みふねはジョーが「ジョニー」だと思い、どこまでも付いていく。ジョーはかつて料理人をしていたのだが、これをやめ、入れ込んだ若い競輪選手を熱心に支援している。しかし、競輪選手はジョーをうっとうしがっており、ジョーを裏切って、女と一緒に逃げ出そうとしていた。一方、秋本もみふねを連れ戻そうと函館の街にやっきた。

 みふねは、ジョーと秋本という野獣のような2人の男に翻弄されることになる。みふねは2人に捨てられたと絶望的な気持ちになり、稚内の寒村に戻ったが、待っていたのは過酷な結末だった。しかし、ジョーと秋本はみふねの心の美しさが忘れられず、稚内にみふねを追ってきた。

 人物設定などが、フェデリコ・フェリーニ監督の代表作の1つ「道」(1954年)に似ている。一歩間違うと凡作になりかねないが、芦川が切なく、愛らしいみふね役を、誇張することなく好演。観ているこちらも、感情移入でき、応援したくなるほどで、蔵原監督の作品群の中でもトップクラスの内容になったと思う。みふねが失意のどん底で、疲労困憊し、線路を歩いて故郷の稚内に向かうところなど、印象に残るシーンやカットがいくつもあった。函館をはじめとする北海道ロケによる映像も心地いい。

 1968年8月に同じ日活の藤竜也と結婚し、同年の映画出演を最後に引退した芦川。2度と銀幕の世界に戻ってくることはなかった彼女も今年10月で82歳になるが、今も多くの根強いファンがいることで知られる。

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佐藤安律

Author:佐藤安律
(さとう・やすのり)
ジャーナリスト。1965年生まれ。大阪市立大学法学部卒。産経新聞記者として20年7カ月勤務し、政治部、夕刊フジ、大阪経済部などに所属。政治部では、厚相時代の小泉純一郎元首相、元自民党幹事長の野中広務氏らを担当した。産経新聞の年間連載「こども大変時代」で、取材班としてファイザー医学記事賞優秀賞を受賞。2011年8月からフリーランス。大阪市在住。得意分野は政治全般、日本映画、医療問題。原稿の依頼などコンタクトはyasunori7373@yahoo.co.jp

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